神棚じまいとは?神棚の供養と処分
はじめに
神棚とは何か
2.1. 神棚の役割・歴史
2.2. 現代における家庭の神棚
神棚じまい(かみだなじまい)とは
3.1. 神棚じまいの意味
3.2. どんなときに神棚じまいを行うのか
広島県での費用相場
4.1. 神棚じまい・お祓い(神事)にかかる費用の目安
4.1.1. 神社へ持ち込み・お祓い(社務所での祭儀)
4.1.2. 神職の出張祭儀(出張お祓い)
4.2. お焚き上げ(供養)にかかる費用
4.2.1. 神棚本体のお焚き上げ料
4.2.2. 神具(神鏡・榊立て・御神札入れなど)の供養料
4.2.3. 古い御札・お守りの納め札(お焚き上げ)
神棚じまいのタイミングと流れ
5.1. 引っ越しや家屋解体の場合
5.2. 家庭事情の変化(継承者不在・宗教観の変化など)
5.3. 年末などの区切りの時期
事前準備と相談方法
6.1. 住職や神職への相談・依頼方法
6.2. 必要な道具やお供え物の準備
6.3. 掃除や片付けの手順
神棚の供養方法
7.1. 家庭でできる簡易な祓い清め
7.2. 神社・寺院での正式祈祷(お祓い)の依頼
7.3. 供養料やお布施の相場
自治体ルールによる廃棄(粗大ごみ扱い)について
8.1. 無神経な廃棄を避ける理由
8.2. 広島市の粗大ごみ処分ルールと料金
8.3. 他市町村(廿日市市など)の処分方法
おすすめの依頼先と連絡先例(広島県内)
9.1. 広島護国神社(広島市中区)
9.2. 厳島神社(廿日市市・宮島)
9.3. 神棚じまい専門業者・お焚き上げ代行サービス
よくあるQ&A
10.1. 供養をせずに自分で廃棄しても問題ない?
10.2. 神棚じまいにかかる費用はどれくらい?
10.3. 祭りや行事と重なったときの対処方法
まとめ・ポイントのおさらい
1. はじめに
家庭や事業所で神様をおまつりしてきた神棚も、引っ越しや建て替え、あるいは家庭事情の変化などを機に、撤去・供養・処分を検討する機会があります。これを「神棚じまい」と呼び、単に片づけるだけではなく、神様を心を込めてお送りし、神具や御札に感謝を捧げたうえで適切に処分することが大切です。
本記事では、まず神棚じまいの基本的な意味や流れを整理したうえで、広島県内で依頼する際にかかる費用相場や手続きのポイントを詳しくご紹介します。特に「供養料」「お祓い(神事)料」「お焚き上げ料」といった費用面については、神社や業者によって大きく異なるため、事前にしっかり確認しておくことで余計なトラブルを防ぐことができます。
以下のようなケースに当てはまる方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
- 広島県内で引っ越しや家屋解体を予定しており、神棚をどう扱うべきか迷っている
- 後継ぎがいなくなり、今後の供養・祓いをどうすればいいのか知りたい
- 生前整理・終活の一環として、神棚を適切にしまいたい
次項より順を追って「神棚じまいの基本」「広島県での実際の費用相場」「事前準備・相談先のポイント」などを解説していきますので、ご自身の状況やニーズに合わせてお読みいただければと思います。
2. 神棚とは何か
神棚(かみだな)は、家庭や職場などの屋内に神様をお招きし、おまつりするための設備やスペースを指します。神道では日々の生活の中で神様への感謝や祈りを捧げることが重視されており、その拠点となるのが神棚です。本節では、まず神棚の役割や歴史的背景を押さえたうえで、現代における家庭での神棚のあり方を確認します。
2.1. 神棚の役割・歴史
- 神棚の役割
- 神様との「接点(せってん)」をつくる場所
家庭内で最も清浄とされる位置に設置し、毎朝のお供え(米・水・塩など)や二礼二拍手一礼の礼拝によって、神様への感謝や祈願を行います。 - 生活の守り神としての役割
古来より神棚を通じて氏神(うじがみ)や産土神(うぶすながみ)、地域の鎮守の神などを日常的におまつりすることで、家内安全・家業繁栄・健康長寿などを願う習慣が根付いています。 - 年中行事や節目の儀式における中心
節分や年末年始、土地の神事に参加できない場合など、神棚を拝むことで運気を整えたり節目の祈祷を行ったりする役割も担っています。
- 神様との「接点(せってん)」をつくる場所
- 歴史的背景
- 古代からの「祠(ほこら)」の流れ
日本では古くから、山や川、木など自然物に神を感じ、祠や祭壇を設けておまつりしてきました。これが家庭における小規模な「おまつり場」として発展し、やがて木製の神棚という形をとるようになりました。 - 江戸時代以降の一般化
江戸時代になると、武家・町人の間でも氏神信仰が広まり、一般家庭にも小さな神棚が置かれるようになります。当時の町屋では、神棚を置く専用の棚(設え)や装飾が工夫され、職人が製作した神具(神鏡・榊立て・玉串立てなど)も流通しました。 - 戦後の住宅事情と神棚
戦後の住宅事情の変化により、神棚を設置するスペースがとりにくい住宅やマンションが普及しました。そのため、壁掛けタイプやマンション用に小型化された神棚が登場し、現代のリビングや玄関先の一角に無理なく設置できる形状が増えています。
- 古代からの「祠(ほこら)」の流れ
2.2. 現代における家庭の神棚
- 多様化する神棚の種類・スタイル
- 伝統的な神殿型(木製・屋根つき)
昔ながらの木造で屋根がついた本格的な神殿型は、神具をきちんと並べて荘厳な雰囲気を出すことができます。和室や仏間がある家庭で採用されやすいスタイルです。 - モダン・ミニマルタイプ(箱型・壁掛け型)
リビングや洋間に合うシンプルな箱型、壁に掛ける薄型の神棚は、デザイン性を重視しつつスペースを取らない点が人気です。神具を最小限にし、手軽におまつりできる工夫がなされています。 - マンション用・卓上型
スペースが限られた集合住宅では、卓上に置ける小型の神棚が多く選ばれます。御札を中心に祀り、それに合わせた小さな神具セットを用意すれば、狭いスペースでも日々の礼拝が可能です。
- 伝統的な神殿型(木製・屋根つき)
- 設置場所と向きの配慮
- 向き(方角)の一般的な考え方
家屋の中心から見て南向きまたは東向きが吉とされます。南向きは太陽光を浴びやすく、明るい日差しの中でおまつりできるため、運気を呼び込むと考えられます。東向きは日の出の方向を向いていることから、神様の光が差し込むイメージがあります。 - 避けるべき場所
トイレ・お風呂場の真上や直近、寝室の頭上など、清浄さを欠く場所は避けましょう。また、梁(はり)の下やドアの真正面など、落ち着いて礼拝できない配置も好ましくありません。
- 向き(方角)の一般的な考え方
- 現代家庭での神棚の意義
- 家族の精神的な拠り所
忙しい日常の中でも、神棚に手を合わせることで心を落ち着かせる機会が生まれます。年中行事や節目の祈祷を通じて家族のつながりを感じ、生活リズムに一定の区切りを与えます。 - 氏神・地域とのつながり
地元の氏神や氏子(うじこ)との関わりを保つ場としても機能します。初詣や祭礼の際に神社と繋がりを持つことで、地域の歴史や文化を継承する役割も担っています。 - 日本文化の一端を日常に取り入れる
神棚を通じて、日本古来の神道的な考え方や作法を家庭で実践することで、生活の中に伝統を取り入れる意識が醸成されます。特に子どもにとっては、自然や四季を尊ぶ心、感謝の気持ちを育むきっかけにもなります。
- 家族の精神的な拠り所
以上が「神棚とは何か」に関する解説です。次節では、実際に神棚じまいがどのような意味を持つのか、その概要を整理します。
3. 神棚じまい(かみだなじまい)とは
神棚じまいとは、これまで家庭や事業所でおまつりしてきた神棚を、神様への感謝を込めて適切にお送りし、その後の神具や御札を供養・処分する一連の行為を指します。単に棚を片づけるのではなく、神道の作法に則って「神様をお見送りする」儀礼を含んでいる点が特徴です。
3.1. 神棚じまいの意味
- 神様をお迎えしてきた場所を閉じる儀式
神棚は神様をお迎えする「依代(よりしろ)」としての役割を担っていました。神棚じまいでは、その依代を閉じ、神様が本来の鎮座場所へお戻りになるよう祈りを捧げます。- 例:毎朝の二礼二拍手一礼で神様に挨拶し、神棚へお供えしてきたが、その神様を再び神社の御祭神のもとへ送り返すイメージです。
- この「お見送り」を怠ると、神様が中途半端に留まると考えられ、好ましくないとされます。
- 感謝と報恩の気持ちを表す
長年にわたり家内安全や商売繁盛などを願ってきた神棚には、家族の歩みや事業の変遷とともに思い入れが生じます。神棚じまいでは、これまでのご加護に対する感謝をきちんと伝えることが重視されます。- 供物(米・塩・水など)を改めてお供えし、感謝の言葉を添えた後にお祓いを受けるケースが一般的です。
- 神具や御札への供養
神棚には神鏡や榊立て、神具一式、御札やお守りなどが納められています。神棚じまいでは、これらを単に廃棄するのではなく、神職による祈祷(お祓い)や神社でのお焚き上げを依頼して「供養」を行うことが基本です。- 直接手で捨てると粗末に扱うことになり、神聖なものを軽んじるとみなされるため注意が必要です。
3.2. どんなときに神棚じまいを行うのか
- 引っ越しや家屋の建て替え・解体時
- 新居へ移る際は、元の住まいでおまつりしていた神棚をそのまま移動せず、一度神棚じまいを行うのが通例です。移転先で改めて氏神や崇敬神社にお参りをすれば、新しい神棚を設置できます。
- 家屋を取り壊す場合、神様の依代である神棚を残してしまうと、不浄な場所で神を祀り続けることになるため、事前に神棚じまいを済ませる必要があります。
- 家庭事情の変化(継承者不在・信仰観の変化など)
- 例えば、家族で引き継ぐ人がいなくなった、あるいは子世帯が神棚の管理を希望しない場合など、「これ以上おまつりを続ける環境が整わない」と判断したときに神棚じまいを行います。
- 信仰のスタイルやライフスタイルが変わり、神棚を維持する意思がなくなった場合も同様です。
- 一軒家から集合住宅への転居・賃貸物件入居時
- マンションやアパートなど、神棚を置くスペースが確保しづらい住宅へ移る際は、神棚じまいを機に小型の神棚に替えるか、いったん供養して処分するケースがあります。
- 集合住宅の場合、風水や方位の関係で神棚の設置場所が制限されることもあるため、新しい住まいで適切なスペースが確保できないときは供養を検討します。
- 長期間無人となる家屋や空き家化した実家
- 親御さんの家を整理する中で、神棚を引き継ぐ人がおらず、そのまま無人家屋に置いておくわけにはいかない場合、神棚じまいを行い、供養・処分します。
- 空き家として放置すると湿気やホコリを被り、神様を祀る場所としての清浄性を失うためです。
以上が「神棚じまいとは何か」「どのようなときに行うのか」に関する解説です。次節では、広島県内で実際にかかる費用相場について詳しく見ていきます。
4.1. 神棚じまい・お祓い(神事)にかかる費用の目安
4.1.1. 神社へ持ち込み・お祓い(社務所での祭儀)
- 内容
神棚を解体または分解せずにそのまま社務所に持ち込み、神職によるお祓い(お祓詞奏上・祝詞奏上など)をしていただいたうえで、そのままお焚き上げ場に移してもらう方法。 - 費用相場:5,000~15,000円程度
- 小規模な神社の場合は5,000円前後で受け付けてくれるところもあります。
- 広島護国神社のように規模が大きく参拝者も多い神社では、10,000~15,000円あたりが目安です。
- 持ち込みの際、事前に社務所へ連絡して「神棚持参でお祓い希望」と伝えると、当日の受付がスムーズになります。
4.1.2. 神職の出張祭儀(出張お祓い)
- 内容
神職に自宅や事業所までお越しいただき、その場で簡易的な祭壇を設えてお祓い・供養をしていただく方法。 - 費用相場:20,000~50,000円程度
- 内訳例
- 玉串料(御祈祷料)……10,000~20,000円
- 作法料(祭具準備などの手間賃)……5,000~10,000円
- 交通費・出張費……5,000円前後(神社からの距離による)
- 広島市内中心部であれば、簡易的なお祓い+供物セット込みで3万円前後が多い印象です。
- 尾道・福山・竹原など、広島県東部・西部への出張は別途高速代や時間外料金が発生する場合があります。
- 内訳例
4.2. お焚き上げ(供養)にかかる費用
神棚じまい後、神具や御札を神社でお焚き上げ(お炊き上げ)にかけてもらう場合、次のように費用が発生します。
4.2.1. 神棚本体のお焚き上げ料
- 内容
木製で屋根つきの神殿型神棚そのものを、神社の境内に設けられたお焚き上げ場で焚き上げる費用です。 - 費用相場:5,000~10,000円程度
- 小さめの卓上型・壁掛け型の神棚であれば5,000円前後。
- 本格的な木造神棚(幅1m前後、高さ60~80cm程度)の場合は8,000~10,000円ほどかかることが多いです。
- 神棚の素材や装飾によっては別途分解費用がかかる場合があるため、事前に問い合わせておくと安心です。
4.2.2. 神具(神鏡・榊立て・御神札入れなど)の供養料
- 内容
神鏡や榊立て、玉串立て、鈴など神棚とともに用いる神具一式をまとめてお焚き上げする費用です。 - 費用相場:3,000~5,000円程度
- 神具点数が少なければ3,000円程度で引き取ってもらえることがあります。
- 点数が多い場合や特注の装飾がある場合は、5,000円前後になるケースが一般的です。
- 「神具だけまとめて持ち込む」「神棚と一緒に持ち込む」いずれでも料金は変わりませんが、持ち込むタイミングでまとめて対応してくれる神社が多いです。
4.2.3. 古い御札・お守りの納め札(お焚き上げ)
- 内容
神棚におまつりしていた古い御札や、年末年始に授与されたお守りを「納め札(おさめふだ)」として神社に返納し、お焚き上げしてもらう方法です。 - 費用相場:500~1,000円/枚、またはまとめて1,000~2,000円程度
- 小型の御札一枚なら500円程度、大きめの御札や数枚まとめる場合は1,000~2,000円かかります。
- 『○○神宮 お焚き上げ料 御札○枚』といった形で、あらかじめ神社の社務所で料金を確認するとよいでしょう。
- まとめて持参すると「枚数制限なしで1,500円」といったプランを用意する神社もあります。
まとめ:広島県での費用相場イメージ
項目 | 内容例 | 費用相場(目安) |
---|---|---|
① 神事(持ち込みお祓い) | 社務所でお祓い後お焚き上げ | 5,000~15,000円 |
② 出張祭儀(自宅でのお祓い) | 祭壇設営+玉串料+交通費 | 20,000~50,000円 |
③ お焚き上げ(神棚本体) | 木製神棚1台分 | 5,000~10,000円 |
④ お焚き上げ(神具一式) | 神鏡・榊立て・鈴など | 3,000~5,000円 |
⑤ 納め札(古い御札・お守り) | 御札1枚または数枚まとめて | 500~1,000円/枚 または1,000~2,000円まとめて |
- 小規模神社での持ち込み祓い+小型神棚の焚き上げ
→ 合計で10,000円前後あれば一通り完了できるケースが多いです。 - 出張祭儀+神棚・神具・御札すべてを供養
→ 出張費用(20,000~30,000円)+焚き上げ料(約10,000~15,000円)=合計で30,000~45,000円程度になる場合があります。
事前にどこまでの「供養」を希望するか(自分で粗大ごみとして処分しないか)を整理し、複数の神社や業者に見積もりを取ることで費用を抑えられる可能性があります。
次節では、神棚じまいの具体的なタイミングや手順について解説します。
5. 神棚じまいのタイミングと流れ
神棚じまいを行う際には、「いつ」「どのように」進めるかをあらかじめ把握しておくとスムーズです。以下では代表的なタイミングと、その際の具体的な流れを解説します。
5.1. 引っ越しや家屋解体の場合
- 引っ越し先の検討
- 現在の住まいに神棚を設置している場合、引っ越し先で同様に神棚をお祀りしたいのであれば、引き続きおまつりできるスペースを確認します。
- 引っ越し先に十分なスペースや環境がない場合は、いったん神棚じまいを行い、引っ越し後に新たな神棚を用意する方法を検討します。
- 神社への相談・予約
- 引っ越し日が決まったら最低でも1~2週間前には、氏神や崇敬神社に「神棚じまい(お祓い+お焚き上げ)を依頼したい」と連絡します。
- 持ち込みできる日時や、出張祭儀をお願いする場合は希望日時を伝え、予約を確定させます。
- 神棚の片付け準備
- 御札やお守りは、神棚から取り外して清浄な布(白い麻布など)があれば敷いたうえで箱などに入れ、一緒にまとめておきます。
- 神具(神鏡・榊立て・玉串立て・鈴など)は埃をはたき、紙や布で軽く拭ってから専用の袋や箱に収納します。
- 神棚本体は、釘やネジを外しすべてパーツごとに分解(または可能な範囲で分解)しておきます。特に大きい神棚は、数人で運搬できるサイズに分解しておくと当日スムーズです。
- 持ち込み当日または出張祭儀実施
- 【持ち込みの場合】
- 事前に確認した日時に神社へ神棚・神具・御札を持参。
- 社務所に到着後、受付で「神棚じまい・お焚き上げ希望」であることを伝える。
- 神職によるお祓い(祝詞奏上・神事)が執り行われ、その後、神社敷地内のお焚き上げ場へ移動し、神棚や神具を焚き上げてもらう。
- 【出張祭儀の場合】
- 神職が自宅に到着し、事前に指定した場所(リビングや和室の清浄な一角)に簡易祭壇を設ける。
- 神職によるお祓い(祝詞奏上・鈴祓い・玉串拝礼など)を行う。
- 供養後、神棚本体や神具・御札はそのまま神職が回収し、後日神社にてお焚き上げを行う。
- 場合によっては回収日が別途設定されることがあるため、神職と日程を調整します。
- 【持ち込みの場合】
- 神棚じまい後の運搬・保管
- 持ち込みの場合、お焚き上げが終わるまで神棚本体や神具は神社で預かってもらえます。終了後、供養済みの証として「お焚き上げ済証」を受け取る場合もあります。
- 出張祭儀の場合は、神具類は神社へ持ち帰られ、お焚き上げを済ませたうえで、希望があれば「供養完了報告」を郵送してくれる神社もあります。
5.2. 家庭事情の変化(継承者不在・宗教観の変化など)
- 継承者がいない場合の判断
- 家を管理する親族や後継ぎがいない、または引き継ぐ意思がない場合、まず「神棚をどうするか」を家族間で話し合います。
- 神棚を新たに小型タイプに変更し、誰か一人が管理する方法もありますが、いずれも難しい場合は神棚じまいを選択します。
- 信仰観の変化による神棚じまい
- 宗教観が変わり、神棚を維持する動機がなくなった場合も、神棚じまいを行います。
- この場合、神棚じまいだけではなく、「感謝を伝える場」としての簡易的なお祓いを家庭内で実施し、その後に社務所に神棚類を持ち込むか、出張祭儀を依頼します。
- 自治体補助や地域行事との連携
- 広島県の一部地域では、地域の集会所や集落単位で合同祭祀を行い、古い神棚を供養し焚き上げる行事を実施することがあります。
- 自治会や町内会を通じて案内がある場合、日時を確認し、必要な手続きを踏むことで個別に神社へ持ち込むより費用を抑えられるケースもあります。
5.3. 年末などの区切りの時期
- 大掃除や年末年始と合わせたタイミング
- 年末の大掃除を機に神棚を見直し、「この一年の感謝を込めて神棚を閉じる」といった節目の行事として神棚じまいを行う家庭もあります。
- 年末年始は神社も混み合うため、年内に予約をして持ち込み・お焚き上げを済ませるか、1月下旬以降に空きがある神社を探す必要があります。
- 節分・祈年祭などの行事と調整
- 節分や祈年祭(2月)など、神社で大規模な祭典が行われる時期はお焚き上げの施設が使えない場合があります。
- これらの行事期間は数週間前からお焚き上げを停止する神社もあるため、神社のサイトや社務所に「お焚き上げスケジュール」を確認してから申込むと安心です。
- 月参りや区切りの祈祷と併せて実施
- 毎月の月参りや厄除祈願などで神社へ行く機会があれば、そのタイミングで「神棚じまいを検討しているので、どの時期がよいか」を相談しておくと、費用や予約状況も踏まえたスケジュールが立てやすくなります。
以上が「神棚じまいのタイミングと流れ」に関する解説です。次節では、実際に依頼する際の事前準備や相談方法を詳しく見ていきます。
6. 事前準備と相談方法
神棚じまいをスムーズに行うためには、事前に必要な準備を整え、適切な窓口へ相談して手続きを進めることが重要です。本節では、神職への連絡手順や用意すべき道具・お供え物、片付けのポイントを具体的に解説します。
6.1. 住職や神職への相談・依頼方法
- 氏神・崇敬神社の確認
- まず、現在おまつりしている神棚の御札が授与された神社(崇敬神社)があれば、その神社を優先して相談します。
- 崇敬神社が不明な場合は、住所地の氏神社か最寄りの神社に問い合わせ、「神棚じまい(お焚き上げ含む)を希望したい」と伝えると、対応可能かどうか回答してくれます。
- 連絡手段とタイミング
- 電話が基本の連絡手段ですが、大きめの神社ではメールや公式サイトの問い合わせフォームを利用できる場合があります。
- 繁忙期(年末年始、例大祭前後など)は対応が混み合うため、希望日の1〜2週間前には必ず連絡し、予約状況や必要書類・持参物を確認しましょう。
- 問い合わせ内容のポイント
- 「神棚の大きさ(寸法・重量)」「神具・御札の点数」「持ち込み希望日または出張希望日」をあらかじめメモして伝えると、見積もりがスムーズになります。
- 出張祈祷を希望する場合は、「自宅の住所」「希望日時」「駐車スペースの有無(必要があれば)」「自宅でのお祓い場所(和室・リビングなど)」を合わせて伝えると、当日の段取りが決めやすくなります。
- 見積もりと契約確認
- 神社によっては電話で概算を教えてもらえる場合がありますが、正確な金額を知るためには、現物を見てからの見積もりが必要となることがあります。
- 見積書や事前案内があれば、内容(お祓い料・お焚き上げ料・出張費用の内訳など)を必ず確認し、納得したうえで依頼しましょう。
6.2. 必要な道具やお供え物の準備
- お供え物(御供物)
- 基本的に神社側で用意してくれる場合もありますが、自宅で供養のみを行う場合は以下を準備すると安心です。
- 米(洗い米): 小皿に盛り付け。
- 塩: 清浄を意味するため小皿に盛り付け。
- 水: 清浄と豊穣を願う象徴として湯呑やコップに注ぐ。
- 酒: 日本酒(小瓶・一合程度)をお神酒として供えることもあります。
- お供えは白い紙(不織布や和紙など)を敷いた上に載せると清潔感を保てます。
- 基本的に神社側で用意してくれる場合もありますが、自宅で供養のみを行う場合は以下を準備すると安心です。
- 掃除用具・包材
- 神棚本体や神具を運び出す前に、ホコリをはたき落とすために 柔らかい布(綿布など)を用意します。
- 木製の神棚本体を運搬しやすい大きさに分解した際は、木部同士がこすれないよう 布や古新聞で包んでおくと傷防止になります。
- 御札やお守りをまとめて保管する際は、 白い紙袋や専用の箱、あるいは白布で包むと、神聖さを保ったまま持ち運べます。
- 動線確保と人手の手配
- 大きな神棚を分解するときは、あらかじめ 作業スペースの余裕を確保してください。神棚本体を広げるスペースが狭いと、部材を傷つけたり怪我の原因になります。
- 分解後に運搬する場合、 2人以上で持ち上げると安全です。分解しつつも重い板があるため、一人で無理に動かそうとせず、家族や知人の手を借りましょう。
- 出張祭儀を依頼する場合も、神職が簡易祭壇を組みやすいよう、 事前に部屋の片付けを行っておきましょう。
6.3. 掃除や片付けの手順
- 神棚周辺の清掃
- 神棚の下や周囲にほこりや蜘蛛の巣などがある場合、 ほうきやはたき で軽く掃き、清潔な環境を整えます。
- 床や棚板も 雑巾で乾拭き し、汚れやシミがあれば軽く水拭きして乾燥させましょう。
- 御札・お守りの取り外し
- まず、 御札を下段から順に取り外し、白い紙袋や専用の箱に納めます。
- 御札の向き(札束に貼られた文字の向き)を崩さないように注意しながら、 背面を下にして横置きにする と良いです。
- お守りや破魔矢なども同様に、ひもが付いている場合は無理に引っ張らず、 紐ごと緩やかに外す ようにしましょう。
- 神具(神鏡・榊立て・鈴など)の取り外し
- 神鏡は鋭利な部分があるため、 両手でしっかり支えながらゆっくり外す ことを心がけます。
- 榊立てや鈴は土台部分がしっかり固定されている場合があるので、 ゆるめるネジや栓を外して慎重に取り外す ようにします。
- 取り外した神具は、それぞれ 布や新聞紙で包み、神棚本体とは別にまとめておきます。
- 神棚本体の分解
- 棚板や屋根部分は、 ネジや木ダボ を順番に外していきます。
- 分解した部材が傷つかないよう、 布や古新聞などでクッションを挟みながら重ねる ように保管します。
- 釘やネジは小袋にまとめ、 無くさないように封筒やジップ袋 に入れておくと後で役立ちます。
- 運搬・保管の手配
- 分解した神棚本体や神具・御札を 持ち込む場合は車への積み込み方法 を考慮します。神棚本体は平らな状態にし、大きめの段ボールや布団袋などを用意すると運搬しやすくなります。
- 出張祭儀の場合は、神職がそのまま回収しますので、 玄関先や駐車場にまとめておく など、当日運び出しやすい場所に配置しておきましょう。
以上が「事前準備と相談方法」に関する詳細です。次節では、具体的な供養方法について解説します。
7. 神棚の供養方法
神棚をじまいする前に、まずはきちんと神様をお祓い・供養することが大切です。ここでは、「家庭でできる簡易的な祓い清め」「神社・寺院での正式祈祷」「供養料やお布施の相場」の3つについて解説します。
7.1. 家庭でできる簡易な祓い清め
- お祓いに必要な準備
- お供え物(洗い米・塩・水・御神酒など)を用意し、白い敷き紙や不織布の上に整然と並べます。
- 清浄な空間を作るため、事前に神棚周辺の掃除(ほこり払い・雑巾掛けなど)を済ませておきましょう。
- できれば家族の中で最も年長者や神道作法に慣れている人が取り仕切ると落ち着いて進められます。
- 簡易的なお祓いの流れ
- 着座と黙祷
- 神棚の正面に立ち、軽く一拝(体を約15度程度前に倒す)。その後、拍手を2回打ち、心を込めて「これまでのご加護に感謝します」と小声で念じます。
- お供え物へのお祓い
- 洗い米・塩・水・御神酒に、塩を少量ふりかけ(塩は清めの象徴)、お神酒を注いだ杯を軽く揺すりながら「お祓いします」と心の中で唱え、そのまま神棚中央に置きます。
- 祝詞奏上(簡易版)
- 家庭で行う場合は漢文の祝詞をすべて暗記する必要はありません。たとえば「天照大神をはじめとする神々に拝礼し、これまでのご加護に深く感謝いたします。今後、神棚を閉じさせていただきます。どうかお導きくださいませ。」と自分の言葉で述べれば十分です。
- 玉串拝礼(簡易版)
- 玉串(榊に白い紙垂がついたもの)があれば用意します。葉の向きを神棚に向け、根本を手に取り、心を込めて拝礼しながら「奉(たてまつ)ります」と唱え、一礼してから玉串を神棚の左右どちらかに静かに置きます。ない場合は「手を合わせて心で拝む」だけでも構いません。
- 結びの礼
- 最後にもう一度、二礼二拍手一礼を行い、「ありがとうございました」と述べて終了します。
- 着座と黙祷
- 家庭での簡易供養のポイント
- 言葉は自分の気持ちに正直でよい
祝詞や玉串の作法を完璧にするよりも、「感謝の心」を重視してください。 - 日を選ぶ
大安や友引など吉日を選ぶと気持ちが整いやすいですが、どうしても都合がつかない場合は「命日に近い日」や「引っ越し前後の都合のよい日」で構いません。 - 複数人での実施
家族がそろう機会に行うと、「家族全員で感謝を示す」ことができ、思い出としても意義深いものになります。
- 言葉は自分の気持ちに正直でよい
7.2. 神社・寺院での正式祈祷(お祓い)の依頼
- 神社での正式祈祷の流れ
- 事前予約・問い合わせ
- 氏神や崇敬神社に電話・メールで「神棚じまいの祈祷をお願いしたい」旨を相談します。
- 神棚の大きさ・神具の点数・古札の枚数などを伝えると、あらかじめ「供養料」「お焚き上げ料」の見積もりを出してくれる場合があります。
- 当日の受付
- 予約日時に社務所に神棚本体・神具・古札一式を持参し、受付で「神棚じまい祈祷希望」と伝えます。受付用紙に必要事項(住所・氏名・祈祷内容など)を記入し、供養料を納めます。
- 本殿での修祓(しゅばつ)・祝詞奏上
- 神職が神前にて祝詞(のりと)を奏上し、参列者は拝殿にて着席して拝礼します。玉串拝礼や神歌の唱和がある場合もあります。
- 玉串拝礼
- 参列者が順番に玉串を捧げ、「玉串拝礼」を行います。個数は家族の人数に合わせて差し支えありません。
- 終了・お焚き上げ
- 祈祷が終わると、神職が社殿裏手などに設けられたお焚き上げ場へ神棚本体や神具を持ち運び、焚き上げを行います。神事としての一連の儀式をもって供養が完了します。
- 事前予約・問い合わせ
- 寺院での合同供養会(仏式の場合)
- 神社と異なり、寺院が神棚供養を行うことは基本的にありません。ただし、神道混淆(しんとうこんこう)の地域習俗や宗教行事の一環として、地域寺院で「古神札供養会」が催される場合があります。
- その場合は主催する寺院(例:真言宗・浄土宗など)へ問い合わせ、「古神札を供養してほしい」と依頼し、墓地隣接の供養場などで合同読経を受けてから焚き上げを実施します。
- 依頼先の選び方と注意点
- 氏神社優先の原則
可能な限り「御札を授かった神社」「日頃参拝している神社」に依頼するのが筋です。 - 出張依頼の可否
都市部の神社では出張祈祷を受け付けるところもありますが、片道距離や祭事予定によって対応不可となる場合があります。 - 混雑時期の確認
年末年始、春秋の大祭前後は神職が多忙になるため、早めに問い合わせをするようにしましょう。
- 氏神社優先の原則
7.3. 供養料やお布施の相場
- 神社へのお布施(御祈祷料)相場
- 基本的な御祈祷料:10,000~20,000円
- 小規模な町内神社であれば10,000円前後、広島護国神社や厳島神社のような大社は15,000~20,000円程度が目安です。
- 玉串料(祝詞奏上料)
- 一家族あたり5,000円~10,000円を目安とし、神職が神前で奏上する祝詞の謝礼分として渡します。
- 出張祭儀を含む場合の内訳例
- 玉串料……10,000円
- 祭具準備料(榊・玉串など)……3,000~5,000円
- 交通費……3,000~5,000円
▶ 合計:16,000~20,000円前後
- 基本的な御祈祷料:10,000~20,000円
- お焚き上げ料の相場
- 神具一式(神鏡・榊立てなど):3,000~5,000円
- 神棚本体:5,000~10,000円
- 小型卓上型であれば5,000円程度。本格的な木造大型神棚では10,000円前後が一般的です。
- 古札・お守り:500~1,000円/枚、またはまとめて1,000~2,000円
- 複数枚まとめて納める場合、枚数上限なしで一定額にする神社もあります。
- 寺院での仏式供養料
- 合同供養会参加費:3,000~5,000円/人
- 参加人数や御札の枚数によって変動します。
- 追加で個別供養を希望する場合:5,000~10,000円
- 読経の丁寧さや供養札の数量に応じて金額が決まります。
- お布施とは別に焚き上げ協力金が必要な寺院もあるため、事前に確認が必須。
- 合同供養会参加費:3,000~5,000円/人
以上が「神棚の供養方法」に関する詳細です。次節では、自治体の粗大ごみとして廃棄する場合の注意点について解説します。
8. 自治体ルールによる廃棄(粗大ごみ扱い)について
神社での供養やお焚き上げを行わず、自分で神棚を解体・廃棄する場合は「自治体のゴミ出しルール」を遵守する必要があります。ただし、神棚には神聖な意味合いがあるため、可能な限り供養を済ませてから廃棄することがマナーとされています。本節では、広島県内の主な自治体ルールを例に挙げつつ、神棚を粗大ごみとして出す際の注意点を解説します。
8.1. 無神経な廃棄を避ける理由
- 神聖性の保持
- 神棚は「神様の依代(よりしろ)」として長年おまつりしてきたものです。何も手を合わせず、無造作にゴミに出すと、「神聖なものを粗末に扱う」と捉えられることがあります。
- 可能であれば、簡易的でも「拝礼」や「言葉による感謝」を行い、「これまでのご加護に感謝します」と心を込めてから神棚を解体しましょう。
- 地域住民への配慮
- 神棚をまるごとゴミ置き場に放置すると、近隣住民の目にも留まりやすく、トラブルの原因となることがあります。
- 事前に自治体の回収ルールを確認し、きちんとシールを貼ったうえで指定収集日に出すようにしてください。
8.2. 広島市の粗大ごみ処分ルールと料金
広島市では、縦・横・高さの合計が1.4mを超えるものは「粗大ごみ」に分類されます。神棚本体はその大きさによって粗大ごみ扱いとなる場合がほとんどです。
- 粗大ごみ受付センターへの申し込み
- 電話(中央区:082-511-5308、西区・佐伯区:082-276-1141、南区・安芸区・安佐南区:082-872-5308)またはインターネットから申し込みが可能です。
- 収集希望日の7日前までに申し込みを行い、「収集シール」の購入方法や収集日を確認してください。
- 収集シールの貼付(シール代金)
- 神棚本体が粗大ごみとなる場合、1点につき500~1,000円程度のシール代金がかかります(2025年6月時点)。
- 実際の金額は神棚の大きさ(おおよその縦・横・高さの合計)に応じて決まるため、申し込み時に粗大ごみ受付担当者にサイズを伝えて確認してください。
- 出し方の手順
- 事前に神棚を自分で分解し、できる限り小さな部材に分ける。
- 金属パーツ(釘や金具)が外せる場合は取り外し、資源ごみとして出せるものは分別する。
- 残った木材パーツを梱包(紐でまとめるか、布で包む)し、指定された収集日の朝までに「粗大ごみ収集場所」に出す。
- 収集シールは目立つ場所(板材のいちばん外側)に貼り付け、剥がれないように固定しておく。
8.3. 他市町村(廿日市市など)の処分方法
広島県内の他市町村でも、粗大ごみや大型ごみの出し方は似たルールですが、料金や申し込み方法が異なるため、以下を参考にお住まいの自治体サイトを確認してください。
8.3.1. 廿日市市の例
- 粗大ごみ(大型ごみ)への分類
- 神棚本体は「大型ごみ」に該当し、事前に廿日市市役所の粗大ごみ受付(各支所)へ電話申し込みが必要です。
- サイズ制限は「3辺(縦・横・高さ)の合計が1.5m未満」であれば1点につき600円、1.5m以上2m未満であれば800円、2m以上の場合は要相談になります。
- 申し込み方法と収集日
- 電話受付後、指定された「収集シール」をコンビニや指定販売所で購入し、神棚本体に貼り付けます。
- 収集日は市の担当者と相談のうえで決定し、当日の朝(午前8時まで)に自宅前または指定収集場所に出します。
- 資源化可能な部材の分別
- 木製部分は燃やせるごみとして処分できる場合があります。サイズを小さく分解したうえで、通常の「可燃ごみ」に出せるか確認してください。
- 金属パーツ(釘・金具)は金属資源ごみの日に出すか、指定の回収ボックスに持ち込むと別途費用を抑えられます。
8.3.2. 福山市の例
- 粗大ごみ(収集依頼制)
- 福山市では「粗大ごみは収集依頼制」となっており、収集予約は電話またはオンラインで申し込む必要があります。
- 1点600円と一律料金となっており、神棚本体の大きさにかかわらず同額で処分可能です(木製家具類として扱われる)。
- 出し方の注意点
- 収集予約の際に「神棚を片付けたい」と伝えると、職員が当日作業しやすいように「分解方法」や「立てかける向き」などアドバイスをくれる場合があります。
- 釘や金属パーツが多く付いている場合は、安全のためにある程度自分で取り外しておくと、収集員の負担を減らせます。
8.4. 廃屋や空き家に残った神棚の扱い
- 所有者が不在の場合
- 空き家となった実家や廃屋に古い神棚が残っているケースがあります。所有者がわからない場合は、自治体の「空き家相談窓口」に問い合わせて処分方法を相談するとよいでしょう。
- 自治体によっては「空き家片付け補助金」や「神具供養補助」を行っている場合もあるため、役場に相談することで自己負担を軽減できる可能性があります。
- 合同回収・合同お焚き上げへの参加
- 一部の市町村では、毎年1回程度「合同回収」「合同お焚き上げ」を実施している場合があります。
- 地域単位で呼びかけが行われることが多く、神棚や神具、古札をまとめて持ち込むと自治体がまとめて焚き上げ施設へ運んでくれるケースもあります。
- 参加費用が無料または低額であることが多いため、自治会や町内会からの案内を見逃さないようにしましょう。
まとめ:自治体ルールによる廃棄時のチェックポイント
- 可能な限り供養を優先する
- 神棚じまい(お祓い・お焚き上げ)をせずにそのまま廃棄すると、地域の人からの印象がよくない場合があります。まずは神社への相談を最優先に考えましょう。
- 自治体ごとのルールを事前確認する
- 収集申し込み方法、シール代金、大きさ制限などは自治体によって異なります。必ず公式Webサイトやコールセンターで最新情報を確認してください。
- 分解・分別を徹底する
- 木製部材と金属パーツをできる限り分別し、可燃ごみ・資源ごみに振り分けて処分すれば、粗大ごみの費用を抑えられる場合があります。
- 合同回収や補助制度を活用する
- 自治会や町内会の案内をチェックし、合同お焚き上げや空き家対策補助金を利用できる可能性がある場合は積極的に活用しましょう。
次節では、広島県内でおすすめの依頼先や連絡先を具体的にご紹介します。
9. おすすめの依頼先と連絡先例(広島県内)
神棚じまいを依頼する際は、氏神社や崇敬神社を優先するのが原則です。ただし、山間部や過疎地域では氏神社が遠い場合もあります。そのようなときは、以下のような選択肢を参考にしてください。住所や連絡先は公式ウェブサイトや社務所窓口で最新情報を必ずご確認ください。
9.1. 広島護国神社(広島市中区)
- 概要
広島市中心部にある代表的な護国神社。戦没者慰霊の社として知られますが、氏神として崇敬する参拝者も多く、神棚の供養・お焚き上げにも対応しています。 - 対応内容
- 持ち込みによるお祓い・お焚き上げ
- 出張祭儀(要事前予約)
- 古札・お守りの納め処
- 費用目安
- 持ち込みお祓い:10,000円前後~
- 出張祭儀:玉串料10,000円+作法料5,000円+交通費(5,000円程度)=約20,000~25,000円
- 神棚本体お焚き上げ:8,000~10,000円
- 神具一式:3,000~5,000円
- 古札・お守り:500~1,000円/枚(まとめて1,500~2,000円)
- 連絡先
- 住所:〒730-0011 広島市中区基町21-2
- 電話:082-221-5590(社務所)
- 受付時間:9:00~16:30
- 公式サイト:https://www.hiroshimagokoku.or.jp/
9.2. 厳島神社(廿日市市・宮島)
- 概要
安芸の宮島に鎮座する世界遺産の神社。観光地としても有名ですが、御札を授与する神社として広島県内外に崇敬者が多数います。神棚本体は境内までは持ち込みが難しい場合がありますので、事前に問い合わせてください。 - 対応内容
- 社殿でのお祓い(持ち込み要受付)
- 古札・お守りの納め所(納札所)での返納と供養
- 出張祭儀:可否は社務所に要確認
- 費用目安
- お祓い:10,000~15,000円
- お焚き上げ:神棚本体8,000~10,000円、神具3,000~5,000円
- 古札納め:500~1,000円/枚(まとめて1,500~2,000円)
- 連絡先
- 住所:〒739-0588 廿日市市宮島町1-1
- 電話:0829-44-2020(社務所)
- 受付時間:8:30~17:00(季節により変動あり)
- 公式サイト:https://www.itsukushimajinja.jp/
9.3. 広島東照宮(広島市東区)
- 概要
徳川家康公を祀る神社で、有事の際に崇敬を集めています。広島市東部の住宅地に位置し、地元住民の神棚供養も受け付けています。 - 対応内容
- 持ち込みお祓い・お焚き上げ
- 古札・お守り納札
- 出張祭儀(要事前確認)
- 費用目安
- お祓い+お焚き上げ一式:10,000~12,000円
- 出張祭儀:玉串料10,000円+作法料5,000円+交通費(3,000~5,000円)
- 古札納め:500円/枚(まとめて1,000~1,500円)
- 連絡先
- 住所:〒732-0064 広島市東区牛田本町3-2-33
- 電話:082-221-7730(社務所)
- 受付時間:9:00~16:00
- 公式サイト:https://www.hiroshimatoshogu.or.jp/
9.4. 廿日市市吉和八幡宮(廿日市市吉和)
- 概要
廿日市市北部・吉和地区に鎮座する地域密着型の神社。吉和地区や周辺の山間部にお住まいの方にとってアクセスが良く、氏神として崇敬されています。 - 対応内容
- 古札・お守り納め
- 神棚持ち込みお祓い:小規模なため、事前相談が必須
- 出張祭儀:季節・行事で神職が不在の場合あり。必ず予約を
- 費用目安
- お祓い:5,000~8,000円
- お焚き上げ:神棚本体5,000~8,000円、神具3,000円程度
- 出張祭儀:玉串料8,000円+作法料3,000円+交通費(要相談)
- 古札納め:無料~500円/枚(地域行事でまとめて供養される場合もある)
- 連絡先
- 住所:〒738-0301 廿日市市吉和453-1
- 電話:0829-77-0037(吉和地区公民館に問い合わせたうえで社務所を紹介されることがある)
- 受付時間:事前に要問い合わせ(地域行事により変動)
- 情報元:廿日市市公式サイト「吉和八幡宮」ページ
9.5. 依頼先を選ぶ際のポイント
- 氏神社・崇敬神社優先
- できる限り「御札を授かった神社」「日頃参拝している神社」に依頼することで、御利益の連続性や地域習俗への敬意を保てます。
- 費用とサービス内容の比較
- 持ち込みお祓いのみ希望か、お焚き上げまで含めるかによって費用が大きく異なるため、見積もりをしっかり取る。
- 出張祭儀では交通費や祭具準備料がかかるため、自宅でできる範囲と神社へ持ち込む範囲を検討しましょう。
- 合同供養会の有無
- 神社や業者によっては、「合同供養会」を開催し、複数の家庭の神棚・神具をまとめて供養・焚き上げする形式を採用しています。個別祭儀より費用を抑えられる反面、神職立ち会いの神事が簡略化される場合があるため、どちらを優先するかを検討します。
- 対応エリアとスケジュール
- 広島県東部(尾道・福山)や西部(呉・江田島など)では別途交通費や時間外料金が発生することがあります。必ず「自宅の住所」を伝えて見積もりを依頼してください。
- 繁忙期(年末年始、春秋のお祭りシーズン)は神職が多忙になるため、希望日・希望時間は複数候補を用意し、早めに予約を取るよう心がけましょう。
以上が広島県内で神棚じまいを依頼する際の主な候補先と連絡先例です。各社寺の対応や費用には若干の増減がありますので、最終的には事前問い合わせと見積もりを必ず行い、ご自身の状況・予算に合った依頼先を選んでください。次節では、よくある質問(FAQ)を取り上げます。
10. よくあるQ&A
神棚じまいを検討する際に、よく寄せられる疑問点をまとめました。ご自身の状況に合わせて参考にしてください。
10.1. 供養をせずに自分で廃棄しても問題ない?
- 基本的には避けるべき
神棚には「神様をお迎えしていた依代(よりしろ)」としての意味があります。供養(お祓い・お焚き上げ)を行わずに、そのまま粗大ごみとして廃棄すると、「神聖なものを粗末に扱う」とみなされることがあり、地域の人々からもマナー違反と受け取られることがあります。 - どうしても供養が難しい場合
事情により神社への持ち込みや出張祈祷がまったく難しいときは、最低限以下の手順を踏むとよいでしょう。- 神棚前で感謝の拝礼を行う
二礼二拍手一礼で「これまでの加護に感謝します」と心で唱え、御札や神具にも軽く感謝の言葉をかけます。 - 神具や御札の簡易的な清め
家庭でもできる「塩・水・洗い米」のお供えを行い、「これにて閉じます」と述べたうえで取り外して保管します。 - 解体・分別を丁寧に行う
木部・金属パーツ・紙(御札)が混在しないように分解し、可燃・資源ごみ・粗大ごみに分別します。 - 粗大ごみとして出す前に地域ルールを確認
収集シールを貼り、指定の当日朝に出せば「自治体としては」問題なく回収されます。
- 神棚前で感謝の拝礼を行う
10.2. 神棚じまいにかかる費用はどれくらい?
- 全体的な目安
広島県内で一般的にかかる費用は、おおむね以下の通りです。- 持ち込みお祓い+お焚き上げ:合計10,000~20,000円程度
- 簡易な小規模神社であれば10,000円前後、大きな神社(広島護国神社など)では15,000~20,000円ほどが相場になります。
- 神職の出張祭儀(自宅でのお祓い):20,000~50,000円程度
- 玉串料(10,000~20,000円)+祭具準備料(3,000~5,000円)+交通費(3,000~5,000円)が一般的です。
- お焚き上げ(神棚本体)単体:5,000~10,000円
- 小型の卓上型なら5,000円、大型の木製神殿型は8,000~10,000円前後。
- お焚き上げ(神具一式):3,000~5,000円
- 神鏡・榊立て・鈴などの点数によって増減します。
- 古い御札・お守りの納め札:500~1,000円/枚、またはまとめて1,000~2,000円
- 複数枚まとめる場合、神社によっては「枚数制限なしで1,500円」など一律料金を設けることがあります。
- 持ち込みお祓い+お焚き上げ:合計10,000~20,000円程度
- 費用を抑えるコツ
- 合同供養会を利用する
地域の神社や自治体で定期的に開催される「合同お焚き上げ」に参加すると、個別に出張祭儀を依頼するよりも安価になることがあります。 - 小規模な神社を選ぶ
料金設定が比較的低めの氏神社や町内神社であれば、持ち込みお祓い料が5,000円台で済む場合もあります。 - 持ち込みのみで済ませる
出張祭儀を頼むと出張費・作法料が発生するため、可能なら神棚を自分で持ち込んだうえでお祓いとお焚き上げを依頼しましょう。
- 合同供養会を利用する
10.3. 祭りや行事と重なったときの対処方法
- 神社の行事スケジュールを事前確認する
節分、春季例大祭、秋季例大祭など神社で大きな祭事が行われる時期は、本殿やお焚き上げ場が使用できない場合があります。特に、祇園祭・夏越祭などで神職が多忙になると、「お焚き上げ一時停止」のアナウンスが出ることがあるため、事前に神社の公式サイトや社務所に問い合わせましょう。 - 年間スケジュールに合わせた予約のポイント
- 年末年始(12月末~1月初旬)
- 初詣や新年祈祷の準備で社務所が混み合い、持ち込みお祓いの受付が制限されることがあります。年内(11月末~12月中旬)に申し込み、持ち込みするのが望ましいです。
- 春先(2月~4月)
- 節分祭や祈年祭、春季大祭などが続く時期は、お焚き上げ場が混雑しやすいです。2月中旬~3月下旬あたりは空きが少ないことがあるため、1月末~2月初旬に予約すると余裕が出ます。
- 秋(9月~10月)
- 秋季例大祭や収穫祭などが行われるため、9月~10月は社務所が慌ただしく、持ち込み受付や出張依頼の対応が遅れがちです。8月末~9月初旬に問い合わせるのがおすすめです。
- 年末年始(12月末~1月初旬)
- 祭事と重なった場合の対応策
- 別の神社へ相談する
主要な氏神社で予約が取れない場合は、同じ地域の他の神社に「当神社でも神棚供養が可能か」を問い合わせてみましょう。崇敬神社でなくとも、氏神社の承諾が得られれば対応してもらえるケースがあります。 - 時期をずらして片付ける
祭事が終わる日を待って(例:例大祭終了後の1週間以内)、社務所が落ち着いてから改めて予約を取り直す方法があります。 - 合同供養会を活用する
地域行事の一環で「合同お焚き上げ」が予定されている場合、その日程に合わせて持ち込みや回収を依頼すれば、個別に祭儀をお願いするよりもスケジュール調整が容易になります。
- 別の神社へ相談する
以上がよくあるQ&Aです。次節で最終まとめを行います。
-
- 約→神職による祝詞奏上→玉串拝礼→お焚き上げまでを一連の流れで行います。正式な儀式を重視する場合や、複数の神具・大量のお札をまとめて供養したい場合はこちらを選びましょう。
- 廃棄する際もマナーを忘れずに
- 供養をせずにいきなり粗大ごみとして廃棄すると、「無神経な扱い」として地域住民の目に留まるおそれがあります。可能な限り簡易供養を行い、そのうえで自治体のルールに従って分別・シール貼付し、指定日に出してください。
- 広島市や廿日市市、福山市など、各自治体で収集料金やサイズ基準が異なるため、公式サイトで最新情報を必ず確認しておきましょう。
- 依頼先は氏神社や崇敬神社を第一候補に
- できる限り「御札を授与された神社」「日頃参拝している神社」に相談し、流れをとどめるのが望ましいです。広島護国神社・厳島神社・広島東照宮など、大きな神社では費用相場が高めですが、安心して供養を任せられます。
- 距離的に難しい場合は、小規模な町内神社や合同供養を行う専門業者を検討しましょう。ただし、「正式な神事」か「合同供養か」を比較し、どちらを優先するかを見極めることが大切です。
- 費用を抑える工夫を意識する
- 持ち込みのみで対応可能な神社を探すと、出張祭儀に比べて10,000円以上安くなる場合があります。
- 合同お焚き上げ会を利用すれば、個別の出張祈祷よりも割安で供養ができることがあります。自治会や町内会の回覧板をチェックしましょう。
- 不要な神具はまとめて処分し、部材を分別することで「お焚き上げ料」や「粗大ごみ収集シール代」を少しでも節約できます。
神棚じまいは「終わり」ではなく、新たなスタートに向けた一過程です。これまで家内安全や商売繁盛を見守ってくれた神様へ感謝を捧げ、きちんとした手順を踏むことで、心地よい区切りをつけることができます。広島県内で依頼を検討される際は、本記事で紹介した費用相場や相談先、マナーを参考に、無理のない範囲で最適な方法を選んでください。
ありがとうございました。