はじめてでも失敗しない仏壇掃除|自分でできる手入れのコツと、供養・撤去/買取に出す目安

目次

1. 基本の考え方と作法

  • 清掃前の合掌と一礼/動かす前に全体写真を撮る(配置再現用)

  • 取り外し・戻す順番の原則(上→下、手前→奥)

  • 手袋(綿手)着用のすすめ

2. 準備する道具と使い方

  • 毛ばたき/やわらかい刷毛/マイクロファイバークロス

  • 竹串+コットン/ブロワー(弱風)/柔らかい筆

  • 「使ってはいけないもの」(アルコール、研磨剤、強い洗剤 など)

3. 日常の手入れ(~5分)

  • 毎日~週1:埃払いの基本、香炉の灰の整え方、花・水回りのチェック

  • 手を触れない箇所/触れてよい箇所の境界

4. 月例~季節ごとの清掃(手順書)

  • 共通手順(養生→仏具取り外し→埃→乾拭き→点検→復元)

  • 金仏壇:金箔・漆を傷めないための“なでる清掃”

  • 唐木仏壇:木目に沿った乾拭き/固く絞った布NG・OKのライン

  • 家具調仏壇:化粧板・突板の注意点/水気・ワックスの可否

5. 仏具の手入れ

  • 仏像・位牌(乾拭きのみ/金粉・金箔部への禁忌)

  • 真鍮仏具(専用クリーナー使用のコツ/試し拭き)

  • 陶器・ガラス(外せるもののみ中性洗剤可・すすぎと乾燥)

  • 掛け軸・脇仏・御簾/紐類の扱い

6. 汚れ・トラブル別の対処法

  • ローソクのロウが付いた/線香ヤニ/灰のこびりつき

  • カビ・湿気・虫(線香虫)対策と発生時の初動

  • におい・くすみ・色ムラの見極め(DIY限界のサイン)

7. 環境管理で長持ちさせる

  • 直射日光・温湿度管理(夏の除湿/冬の過乾燥注意)

  • 換気・防炎配慮(ローソク使用時の安全)

  • 置き場所の再確認(壁との距離、床の水平)

8. やってはいけないこと(NG集)

  • 金箔・漆への湿布・薬品・磨き込み/強風ブロワー など

  • 強くこする/濡らす/分解清掃(無資格) ほか

9. 年間メンテナンススケジュール例

  • 日常/月例/お彼岸・お盆前/年末の“大掃除”の配分

  • チェックリスト(印刷して使える簡易版)

10. 修復・洗い・処分が必要なケース

  • 変色・割れ・金箔剥離・虫害の判断基準

  • 洗い・修復・リフォームの選び方と流れ

11. よくある質問(FAQ)

  • どのくらいの頻度が適切?/市販スプレーは使える? など

12. 弊社の清掃・供養サービスのご案内

  • 出張清掃・引取供養・洗い・修復の対応内容

  • 料金目安・所要時間の目安・お申し込みの流れ

  • 写真見積り・LINE相談のご案内(※リンク不要の文面で)

 

1. 基本の考え方と作法

※本記事は「ご家庭で安全にできる範囲」の清掃を解説します。弊社は清掃サービスは行っておらず、仏壇の供養・撤去/買取のみ対応しています。無理だと感じた場合や破損・劣化が見られる場合は、清掃を中止してください。

1-1 清掃前の心構え(合掌・一礼・言上)

  • 合掌して一礼し、**「これから清掃のために手を触れさせていただきます」**と心の中で伝えます。

  • 手洗い・うがいを済ませ、腕時計や指輪は外す(傷つき防止)。

  • 可能なら**綿手袋(白手)**を着用。

ひと言テンプレ(例)

「本日、清掃のために仏壇・仏具に手を触れさせていただきます。どうかお見守りください。」

1-2 触れる順番・戻す順番の原則

  • 取り外し:上 → 下、手前 → 奥

  • 復元  :奥 → 手前、下 → 上

  • まず全体の写真を撮り、仏具の配置がわかるように数枚記録。

  • 小物は種類別にトレーへ。ネジ・飾り金具は小袋に分けてメモを添付。

1-3 養生と作業環境の整え方

  • 床・前方に柔らかい布や厚手タオルを敷く(落下傷の保護)。

  • 周囲を片付け、踏み台やコード類で足元が乱れないように。

  • 直射日光やエアコンの強風が当たらないよう一時停止

  • ローソク・線香は完全に消火、電飾がある場合は抜いておく

1-4 「触れてよい」「触れてはいけない」の線引き

触れてよい(基本はやさしい乾拭き):

  • 木部の外装・内部の棚(から拭きのみ)

  • ガラス戸・鏡面(極軽い乾拭き。曇りが強い場合は後述の範囲で)

  • 真鍮など金属仏具(強く磨かない・後述の専用方法で)

触れてはいけない(DIYでは原則NG):

  • 金箔・金粉・漆・蒔絵(水分・薬剤・強擦りは厳禁)

  • 彩色や金泥のある仏像・位牌の文字部(はがれ・欠けの原因)

  • 掛け軸・布地・紐・房(繊維が弱く、色移りや型崩れの恐れ)

  • 内部の分解・調整・再接着(破損・価値毀損のリスク)

迷ったら「乾拭きで軽くなでる」までに留め、無理をしない。

1-5 清掃の基本姿勢(“なでる”が正解)

  • 力を入れず、**面を広く当てて“なでる”**イメージ。

  • 布は清潔なマイクロファイバーを薄く折り、折り目を替えながら使用。

  • 細部は柔らかい筆・綿棒・竹串にコットンを薄巻きして埃だけ取る。

  • ブロワーは弱風のみ。強風は金箔の浮き・割れを広げます。

1-6 安全配慮(火気・転倒・破損)

  • 火気厳禁、清掃中はローソク・線香を使用しない

  • 扉を全開にしたまま体を強く当てない(蝶番の歪み防止)。

  • 重い仏具は両手で。高所作業は二人以上を基本に。

  • 子ども・ペットの立ち入りを一時的に制限

1-7 「DIYの範囲」と「供養・撤去/買取に出す目安」

DIYで可能:

  • 軽い埃・ヤニの表面付着を乾拭きで穏やかに落とす

  • ガラスの指紋・軽いくもりのごく控えめなケア

  • 真鍮仏具の軽いくすみ取り(専用方法で・後述)

DIYを中止・ご相談の目安:

  • 金箔の剥がれ・浮き、漆の割れや白化がある

  • カビ臭・虫害(粉状の木屑・小さな穴)を伴う

  • 転倒・歪み(地震以後のがたつき、建具の噛み)

  • 清掃しても礼拝に支障ある汚れ・損傷が残る

  • ご事情により継続安置が難しい(住替え・承継者不在 等)

上記に該当する場合は、供養のうえ撤去、または買取という選択肢もあります。状況に応じて適切な方法をご提案します(※本ブログ末尾にご案内)。

1-8 作業後の復元・最終確認

  • 写真を見ながら元の配置に正確に復元

  • 扉の開閉・引出しのスムーズさ、本体の水平・がたつきを確認。

  • 最後に合掌・一礼し、清掃終了のご挨拶を心の中で伝える。


すぐ使えるミニチェックリスト

  • 合掌・一礼・言上をした

  • 全景・配置の記録写真を撮った

  • 上→下/手前→奥で取り外し、トレーへ分類

  • 乾拭き中心、迷う箇所は触らない

  • 扉・蝶番・水平を最終確認し、元通りに復元した

次章では、準備する道具と正しい使い方を具体的に解説します。

2. 準備する道具と使い方

迷ったら「乾拭き・やさしく・短時間」。**金箔・漆・蒔絵には基本的に“触れない”**が安全です。

2-1 最低限キット(まずはこれだけ)

  • 綿手袋(白手):指紋・皮脂を防ぐ

  • 毛ばたき(柔らかい羽)/柔らかい筆:埃を“払う”用(振り回さない)

  • マイクロファイバークロス(起毛薄手):乾拭き用、2〜3枚

  • 無地コットン/綿棒・竹串+コットン:細部の埃取り

  • 手動ブロワー(弱風):隙間の埃を軽く移動

  • トレー・小袋・付箋:仏具の一時置き・小物仕分け

  • 養生用の厚手タオル:落下傷の予防

  • (必要に応じて)踏み台・マスク・ライト

2-2 材質別の“可・不可”の目安

  • 金箔・漆・蒔絵:基本は触れない/乾いた柔筆で軽く払うだけ

  • 唐木(黒檀・紫檀など)木部乾拭きのみ(水・薬剤NG)

  • 家具調(化粧板・突板):乾拭きが基本。指紋だけ固く絞った布で点押し→即乾拭き

  • ガラス:外せる部材のみ。息で曇らせ→レンズクロスで直線拭き

  • 真鍮仏具専用クリーナーを“少量”、まず裏で試す(艶消し仕上げ・金メッキはNG)

2-3 道具の正しい使い方

  • 毛ばたき/筆

    • 羽先・筆先だけを当て、上→下へ“なでて”埃を逃がす

    • 1〜2面払ったら屋外で軽くはたいて埃を落とす

  • マイクロファイバークロス

    • 4つ折りで**“面替え”しながら**使用(汚れを塗り広げない)

    • 円を描かず木目や面に沿って軽く直線拭き

  • 竹串+コットン

    • 先端に薄く巻き、溝に沿ってスライド(突かない・えぐらない)

  • ブロワー(弱風)

    • 20〜30cm離し斜めから。金箔・漆には向けない

  • 真鍮用クリーナー

    • 米粒大を布の“端”にだけ付け、一方向に2〜3回軽く往復→即乾拭き

    • 文字彫り・メッキ・艶消しには使わない

2-4 「使ってはいけないもの」

  • アルコール・シンナー・塩素/酸性/強アルカリ洗剤

  • 重曹・クエン酸・研磨入りペースト・メラミンスポンジ

  • スチームクリーナー・強力エアダスター・粘着クリーナー

  • 紙タオル(硬く、微細傷の原因)

2-5 小さな実践レシピ(すぐ使える)

  • ガラス戸の指紋:息で曇らせ→レンズクロスで直線拭き→縁は竹串+クロスで角だけ軽く

  • 香炉の灰整え:割り箸の背で表面をなでて平らに。底の固着は掘らない

  • 真鍮花立のくすみ:裏で試し→綿棒に極少量つけて一方向→即乾拭き(艶消しは不可)

2-6 片付け・保管

  • 道具は仏壇専用で分ける(台所用と兼用しない)

  • 布は単独で水洗いし洗剤残りゼロに。毛ばたきは吊って保管

  • クリーナーはチャイルドロック下/高温直射を避ける

準備チェックリスト

  • 綿手袋/毛ばたき/柔筆/クロス3枚

  • 竹串・コットン・綿棒/弱風ブロワー

  • トレー・小袋・付箋/養生タオル

  • 使ってはいけない物を手元に置かない

次章は3. 日常の手入れ(〜5分)――毎日〜週1でできる“安全最小限”のルーティンを解説します。

3. 日常の手入れ(〜5分)

原則:動かさない/濡らさない/こすらない。迷う箇所は触らず次章以降の方法を確認。

3-1 毎日〜2日おきのミニルーティン(約2分)

  1. 合掌・一礼(心の中で清掃の断りを伝える)。

  2. 扉をゆっくり全開。強風・直射日光が当たっていれば一時停止。

  3. 毛ばたき or 柔筆で埃払い:上→下、奥→手前へ“なでる”。(金箔・漆・蒔絵は触れない

  4. 香炉の灰面を整える:割り箸の背で表面だけを軽く平らに。

  5. 水回りの確認(水入・茶湯器・花立)

    • 水入:新しい水に交換(こぼしたら即・乾拭き)。

    • 花立:しおれた花は外し、茎を1cmほど斜め切り直し→水替え。

  6. 火気安全チェック:芯・マッチ片が残っていないか、ローソクの受け皿にロウが溜まっていないかを目視。

時間がない日は「埃一なで・灰面整え・水替え」の3点だけでOK。

3-2 週1回の軽清掃(約5分)

  • 乾拭きの徹底:マイクロファイバーを薄く折り、面を替えながら“直線拭き”。

  • ガラス戸の指紋:息で曇らせ→レンズクロスで直線拭き(洗剤は使わない)。

  • 真鍮仏具は触れずに外周の埃だけ払う(くすみ取りは後章の専用手順)。

  • 香炉の縁・受け皿:乾いた綿棒やクロスの端で点押ししてヤニを軽く除去。

  • 床の養生布を軽くはたく(埃を室内に舞わせないよう屋外で)。

3-3 触れてよい/触れてはいけない

  • 触れてよい:木部の外装・棚板の“乾拭き”/ガラスの軽い指紋取り

  • 触れてはいけない:金箔・漆・蒔絵・彩色文字/掛け軸・布類/分解・再接着

    • これらは日常清掃の対象外。異常があれば作業を止めて次章へ。

3-4 におい・湿気の簡易コントロール

  • 扉を1〜2分だけ開放して空気を入れ替える(強風は当てない)。

  • 梅雨〜夏は部屋の除湿(50〜60%目安)、冬は過乾燥を避ける。

  • 芳香スプレー・消臭剤を仏壇本体に噴霧しない(ヤニ・変色の原因)。

3-5 NG習慣(やりがち注意)

  • 濡れた布で木部や金箔を拭く/アルコール・重曹・メラミン使用。

  • 強い力で磨く・円を描いてこする

  • 強風ブロワーを至近距離で当てる。

  • 仏具の位置を勘で動かす(動かす場合は必ず先に写真)。

3-6 ミニチェックリスト

  • 上→下へ埃を“なで落とし”できた

  • 香炉の灰面が平ら

  • 水入・花立の水を替えた/こぼれは即乾拭き

  • 火気まわりに残り物なし

  • 触れてはいけない箇所に触れていない

日常で落ちない汚れ・違和感(剥離・カビ臭・がたつき等)が出たらDIYを中止し、以降の章の対処法を確認。継続安置が難しい場合は、供養のうえ撤去/買取という選択肢もあります(本記事末尾でご案内)。

4. 月例~季節ごとの清掃(手順書)

所要時間の目安:30〜60分(2名だと安全・確実)。濡らさない・薬剤を使わないが原則です。

4-1 共通手順(どの仏壇でも同じ)

  1. 合掌・一礼 → 記録写真(全景/段ごと/小物の並び)。

  2. 養生(前面に厚手タオル)→作業スペースを確保。

  3. 取り外しは「上→下・手前→奥」。小物はトレー+付箋で区分。

  4. 埃払い:毛ばたき or 柔筆で上→下へ“なで落とし”。

  5. 乾拭き:マイクロファイバーを薄く折り、面替えしながら直線拭き。

  6. 点検:がたつき/蝶番の緩み/カビ臭や虫粉の有無を確認(異常はDIY中止)。

  7. 復元は「奥→手前・下→上」。記録写真どおりに戻す。

  8. 最終確認:扉・引出しの動作、水平、火気まわりの安全→合掌。

迷う箇所(金箔・漆・蒔絵・掛け軸など)は触らない


4-2 金仏壇(本金箔・漆・蒔絵)

  • 触れる範囲:木部の埃払い、戸枠など非金箔部の軽い乾拭きのみ。

  • 金箔面:柔らかい筆先で“はらうだけ”布で拭かない/風を当てない

  • 漆面(黒塗り等):乾拭きは極軽圧で一方向に1〜2回。繰り返し不可。

  • 彫刻部:筆先で溝に沿って手前へ掃き出す。竹串は使わない。

  • 金具:くすみ・色ムラは手を出さない(メッキ剥離の恐れ)。

ロウ・ヤニ・染みが付いてもこすらない/温めない。DIYの範囲を超えるため専門修復の判断へ。


4-3 唐木仏壇(黒檀・紫檀など)

  • 基本は乾拭きのみ。木目に沿って直線拭き、力を入れない。

  • 指紋・点汚れ:固く絞った布で点押し→即乾拭き(擦らない)。

  • 彫り・格子:柔筆→竹串に薄くコットンを巻き溝をなぞる(突かない)。

  • レール・戸走り:埃を払うだけ。潤滑スプレーはNG(染み・変色の原因)。

  • オイル・ワックス:ムラ・ベタつき・変色の原因になるため使用しない


4-4 家具調仏壇(化粧板・突板・ウレタン塗装)

  • 外装・棚板:乾拭きが基本。鏡面は直線拭きで細傷を防ぐ。

  • 指紋:固く絞った布で点押し→すぐ乾拭き(水分残し厳禁)。

  • ガラス・ミラー:外せる部材のみ、息で曇らせ→レンズクロス

  • エッジ・角剥離や浮きは触らない(進行させる恐れ)。

  • 金属取手:乾拭きのみ。クリーナーはメッキ劣化の恐れあり。


4-5 お彼岸・お盆前の“前倒しケア”(2週間前〜前日)

  • 花立・水入の徹底管理:ヌメリは触れる部材のみ乾拭き/中性洗剤は陶器・ガラスの外した部材に限る→完全乾燥→復元

  • ヤニ・煙道:受け皿・香炉周りを綿棒の点押しで軽く。

  • 通気:強風を避けて1〜2分だけ扉開放、部屋は**50〜60%**湿度目安。

  • 安全確認:ローソク受け・線香立のぐらつき、周辺の可燃物ゼロ

  • 設置見直し:直射・エアコン直風・加湿器ミストの直撃回避

  • 転倒対策水平確認と壁からの距離確保(固定や金具追加は専門へ)。


4-6 年末の“大掃除”の組み立て(無理しない版)

  1. 日中・2名体制を確保(照明+脚立の見張り役)。

  2. 使ってはいけない物を先に遠ざける(アルコール・研磨・メラミン等)。

  3. 共通手順で分解→埃→乾拭き→点検→復元。

  4. やり過ぎ防止:同一面への拭き取りは最大2往復まで。

  5. 異常発見シート:剥離・割れ・虫粉・白化は赤付箋でマーキング→DIY停止。

  6. 終了後:合掌→火気まわりゼロを再確認→扉を半日だけ軽く開けて乾燥(直風NG)。


季節清掃チェックリスト

  • 記録写真→上→下/手前→奥で取り外し

  • 筆・クロスで乾拭きのみ(布で金箔は拭かない)

  • 戸走りは埃除去のみ、潤滑剤は未使用

  • 湿度50〜60%、直射・直風を回避

  • 異常(剥離・虫粉・白化)を発見→DIY中止

  • 復元後の動作・水平・火気を最終確認

取り切れない汚れや劣化、カビ・虫害の疑いがある場合はDIYを止めるのが安全です。ご事情により継続安置が難しいときは、供養のうえ撤去、または買取という選択肢もあります(本記事末尾でご案内)。次章は5. 仏具の手入れです。

5. 仏具の手入れ

原則:乾拭き中心・強くこすらない・水や薬剤は最小限。迷ったら触らないのが安全です。

5-1 共通原則(全仏具)

  • 合掌→記録写真→取り外し(上→下・手前→奥)。

  • 布は**薄く折って“面替え”**しながら使用。

  • 金箔・金粉・漆・蒔絵・彩色文字には触れない(拭かない/風を当てない)。

  • 置き台・受け皿があるものは別トレーに分けて戻し間違いを防止。


5-2 仏像・位牌(最も慎重に)

  • やること:柔らかい筆で埃をはらうだけ。台座の木部は極軽い乾拭きまで。

  • やらないこと:金箔・金泥文字・漆面の拭き取り/水・薬剤/綿棒での擦り。

  • 迷ったら触らない。剥離・ひび・白化を見たらDIY中止。


5-3 金属仏具(真鍮・銅・青銅)※花立・燭台・香炉など

  • 日常:外周の埃を筆で払う→乾拭き

  • 軽いくすみ(鏡面仕上げのみ):

    1. 裏面の目立たない所で試す

    2. 布の端に米粒大真鍮用クリーナー(非研磨〜弱研磨)

    3. 一方向に2〜3回だけ薄くのばす→即乾拭きで薬剤を残さない

  • NG:艶消し仕上げ/金メッキ/彫刻文字部への使用、円を描く磨き、薬剤のつけ過ぎ。

  • 花立の内筒:外せる金属筒のみ乾拭き。水洗いは完全乾燥が前提


5-4 金メッキ・艶消し金属・銀色メッキ

  • 基本は乾拭きのみ

  • クリーナー類はメッキ剥離・光沢ムラの原因になるため不可

  • 指紋が気になる場合はレンズクロスで直線拭きに留める。


5-5 陶器・ガラス(茶湯器・仏飯器・湯のみ・花立のガラス筒)

  • 取り外せる部材のみ対象。

  • 外側:乾拭き中心。

  • 内側のヌメリ(※陶器・ガラスに限る):

    1. ぬるま湯中性洗剤 少量やさしく洗う

    2. 流水で完全すすぎ水分を拭き取り完全乾燥してから戻す

  • NG:本体木部・金箔部に水滴を落とす/熱湯・漂白剤・つけ置き長時間。


5-6 掛け軸・布・房(紐)

  • 原則:触らない。埃が気になる場合は離れた位置から柔筆で空気を撫でる程度

  • NG:拭く・叩く・粘着クリーナー・スチーム。型崩れや色移りの原因。


5-7 細部パーツ・小物

  • 線香立の受け皿・ロー受け:乾いた綿棒で点押ししてヤニを軽く除去。

  • 飾り金具・ビス:緩みは指で軽く押さえて確認まで(締付け・接着は行わない)。

  • ガラス障子の桟:竹串にコットン薄巻きでなぞる(突かない)。


5-8 ミニレシピ(状況別)

  • 香炉の灰が固い掘らない。表面だけ割り箸の背でなでて平らに

  • 燭台のロウ残りこすらない。固まったまま樹脂へらで端から持ち上げ→残りは綿棒の点押し。温め溶解は金箔・漆を傷めるため不可

  • 花立の水垢輪(ガラス筒):外してぬるま湯+中性洗剤完全乾燥。本体には水を垂らさない。


5-9 やってはいけないこと(再掲)

  • 金箔・漆・蒔絵・金泥文字を布で拭く/水分・薬剤をつける

  • アルコール・シンナー・強い洗剤・研磨ペースト・メラミン・スチーム

  • 強風エアダスターを至近で

  • 分解・再接着・調整(DIY不可領域)。


5-10 復元と最終確認

  • 記録写真どおりに正確に復元(奥→手前・下→上)。

  • がたつき・水平・火気周りを再チェック。

  • 最後に合掌・一礼

取り切れない汚れ・剥離・カビ臭・虫害が疑われる場合は、DIYを中止してください。ご事情により継続安置が難しいときは、供養のうえ撤去、または買取という選択肢もあります(本記事末尾で御案内)。次章は6. 汚れ・トラブル別の対処法です。

6. 汚れ・トラブル別の対処法

原則:濡らさない/こすらない/温めない。**金箔・漆・蒔絵・金泥文字は“触れない”**が最も安全です。

6-1 ローソクのロウが付いた

  • 金箔・漆・木部DIY不可。こすらない・温めない(剥離・変形の原因)。

  • 金属・ガラス・陶器など“外せる小物のみ”

    1. 外して作業台の上で実施

    2. 樹脂ヘラまたは割り箸の“角”で端から持ち上げ

    3. 残りは綿棒の点押しで少量ずつ除去

    4. (ガラス・陶器に限り)ぬるま湯+中性洗剤少量→完全すすぎ→完全乾燥
      ※ドライヤー・熱湯・溶剤は不可

6-2 線香ヤニ(茶色いベタつき)

  • ガラス(外せる場合のみ):息で曇らせ→レンズクロスで直線拭き。ひどい場合は取り外し、ぬるま湯+中性洗剤少量→完全乾燥。

  • 木部・金箔・漆乾拭きの“なで取り”のみ。落ち切らない場合はDIY停止

6-3 灰のこびりつき・香炉の固まり

  • 掘らない・こすらない。表面だけ割り箸の背でなでて平らに。

  • 固まりが繰り返す時は灰を交換(こぼし厳禁)→本体は乾拭きのみ

6-4 におい(こもり臭・ヤニ臭)

  • 扉を1〜2分だけ開放し換気(直風は避ける)。

  • 室内湿度を**50〜60%**に保つ。

  • 芳香剤・消臭スプレーを本体に噴霧しない(変色・シミの原因)。

  • 脱臭剤は離れた棚に置く(本体・仏具に触れさせない)。

6-5 カビ(白粉・点状の斑/カビ臭)

  • DIY原則不可。拭かない・薬剤を使わない。

  • 扉を閉じて周囲環境を除湿(50〜60%)→専門判断へ。

  • 発見箇所を写真記録し、触れない。

6-6 虫(粉状の木屑・小さな穴・小虫)

  • 木粉・小穴=穿孔虫の疑い → DIY不可、清掃中止。

  • お供えや食品を長期間置かない/近傍の段ボール保管を避ける。

  • 発見物は密閉袋で保管し、状態確認の資料に。

6-7 色ムラ・白化・金箔の浮き/剥離

  • 触らない・なでない・濡らさないDIY停止

  • 変化が広がる前に写真記録→専門相談へ。

6-8 ガタつき・戸の噛み・水平不良

  • 床の水平確認(薄い下敷きや紙で微調整は可)。

  • 蝶番の調整・潤滑スプレーは不可(染み・変形の原因)。

  • 地震後や移動後は動作確認のみに留め、無理に力をかけない。

6-9 ガラスの割れ・欠け

  • 扉を静かに閉め触れない。破片が落ちそうな場合は周囲を立入禁止に。

  • 自力で外さない/テープで固定しない(塗面剥離・二次破損の恐れ)。専門交換へ。

6-10 “ベタつき”やワックス跡

  • 追加でこすらない。ムラ・変色が進むためDIY不可

  • 触れずに記録→相談へ。


DIYの停止サイン(どれか一つでも当てはまれば中止)

  • 金箔・漆・蒔絵に剥離/浮き/白化

  • カビ臭や粉状の木屑、小穴(虫害疑い)

  • 強いベタつき・色ムラ・シミが広がる

  • ガラス破損・本体のぐらつき

  • 清掃しても礼拝に支障が残る汚れ・損傷

上記に該当する場合は、無理に進めずDIYを中止してください。継続安置が難しい修復よりも整理を選びたいなどのご事情があるときは、供養のうえ撤去、または買取という選択肢もございます(本記事末尾でご案内)。
次章は7. 環境管理で長持ちさせるです。

7. 環境管理で長持ちさせる

汚れの多くは“環境”で防げます。直射日光・過湿/過乾燥・強風・可燃物の近接を避けるだけで、傷みと清掃頻度が大きく下がります。

7-1 温湿度管理(目安)

  • 湿度:50〜60%(梅雨時は除湿、冬は過乾燥を避ける)

  • **温度:10〜28℃**の安定域を保つ

  • 近くに小型の温湿度計を設置し、季節で置き場や換気を調整

  • 除湿は部屋全体で行う(本体へ直接風やミストを当てない)

NG:加湿器・アロマのミストを直撃/本体内部の“湿度剤”設置(こもり・カビの原因)

7-2 日射・紫外線・照明

  • 直射日光は不可:カーテンや遮光で回避

  • 窓際しか置けない場合:UVカットフィルム+日中は扉を半開きにしない

  • 照明はLED推奨(発熱が少なくヤニ付着も抑制)

7-3 風・換気

  • 扉を1〜2分だけ開放し、部屋の空気を入れ替える

  • エアコンの直風は避ける(乾燥・ホコリ吹き込み)

  • 扉を開けっぱなしにしない(ホコリ侵入・乾燥し過ぎ)

7-4 設置場所・レイアウト

  • 壁から3〜5cm離して通気を確保

  • 直上にエアコン/加湿器/窓が来ない位置へ

  • 床は水平に(薄紙などで微調整可)

  • 可燃物ゼロ:カーテン・紙袋・段ボール・布類を周辺に置かない

7-5 火気・安全対策

  • ローソク・線香使用時は離れた位置に消火器や不燃トレー

  • 炎の背後に布・紙が来ないよう配置を見直す

  • 就寝前・外出前は完全消火を再確認

  • 地震対策:揺れで扉が暴れないよう開閉は静かに。固定や金具追加は専門へ(DIY不可)

7-6 虫・カビの予防

  • 生菓子・果物の供えっぱなしを避ける(小虫・カビの原因)

  • 近くに段ボール保管をしない(虫の温床)

  • 梅雨〜夏は除湿徹底、冬は結露に注意

  • 粉状の木屑・小穴・カビ臭を感じたらDIY停止→専門判断

7-7 水回り・花の管理

  • 花立・水入はこまめに水替え、こぼれは即・乾拭き

  • 外せるガラス筒・陶器のみぬるま湯+中性洗剤可→完全乾燥してから戻す

  • 本体木部・金箔へ水滴を落とさない

7-8 カバー・クロス類の扱い

  • ホコリよけの厚手カバー掛けっぱなしは不可(湿気がこもる)

  • 使うなら通気性の良い薄手日中は外す

  • クロス類は色移りしない無地を使用


環境チェックリスト

  • 湿度50〜60%/直射・直風なし

  • 壁から3〜5cm離し、床は水平

  • 可燃物ゼロ・消火手段の確保

  • 梅雨は除湿、冬は結露に注意

  • 段ボール・生菓子の“置きっぱなし”なし

環境を整えても劣化や異臭・虫害が続く場合は、DIY清掃では改善しないサインです。ご事情により継続安置が難しい場合は、供養のうえ撤去、または買取の選択肢もご検討ください(本記事末尾でご案内)。
次章は**8. やってはいけないこと(NG集)**です。

8. やってはいけないこと(NG集)

基本原則:濡らさない・こすらない・温めない・分解しない。迷ったら触れないが最も安全です。※弊社は清掃は行わず、供養・撤去/買取のみ対応です。

8-1 薬剤・水分まわりのNG

  • アルコール/シンナー/強酸・強アルカリ洗剤の使用

  • 重曹・クエン酸・研磨入りペースト・メラミンスポンジ

  • スチームクリーナー濡れ布での拭き上げ(木部・金箔・漆・蒔絵)

  • 漂白剤除菌スプレーの噴霧

OK代替:乾拭き・柔筆で“なで落とす”。ガラス・陶器の外せる部材のみぬるま湯+中性洗剤→完全乾燥


8-2 道具の使い方NG

  • 強風エアダスターやコンプレッサー風を至近距離で当てる

  • 紙タオル・硬いブラシ・粘着ローラーで擦る/貼る

  • 毛ばたきを振り回して打ちつける(微細傷・剥離の原因)

OK代替弱風ブロワーを20〜30cm離して斜め当て/柔らかい筆・薄いクロスで直線の軽拭き。


8-3 力の入れ方・拭き方のNG

  • 円を描いて磨く/往復拭きの多用/強圧でのこすり

  • 同一面を繰り返し拭く(摩耗・ムラの原因)

OK代替一方向に1〜2往復まで。常に面替えしながら“なでる”。


8-4 加熱・溶解のNG

  • ロウ汚れにドライヤー・ヒートガン・熱湯を当てる

  • 温めて溶かす処置全般(金箔・漆の変形・剥離を誘発)

OK代替樹脂ヘラで端から持ち上げ→綿棒の点押し。本体に残る場合はDIY中止


8-5 分解・修繕のNG

  • 蝶番調整・ネジ締め直し・再接着

  • 金具・飾りの取り外し/位牌・仏像の台座分解

  • 掛け軸の貼り直し・表具の手入れ

OK代替動作確認のみ。異常は記録写真を撮って専門判断へ


8-6 仕上げ・見た目重視のNG

  • 木部や塗面にワックス・艶出しオイルを塗る

  • 金属仏具へメッキ対応外のクリーナーを使う(艶消し・金メッキは不可)

  • 芳香剤・消臭スプレーを本体や内部へ直接噴霧

OK代替:金属は鏡面仕上げのみごく少量の専用クリーナー→即乾拭き/においは換気と湿度管理で対処。


8-7 環境・設置のNG

  • 直射日光/エアコン直風/加湿器ミスト直撃

  • 厚手カバー掛けっぱなしで通気不足

  • 周囲に段ボール・布・紙など可燃物の近接

OK代替湿度50〜60%、壁から3〜5cm離し通気確保。カバーは通気性薄手・日中外す


8-8 火気・安全のNG

  • ローソクや線香を点けたまま離れる

  • 芯が長い/複数本同時燃焼で炎が大きい

  • 炎の背後に布・紙がある配置

OK代替不燃トレーを使い、使用後は完全消火を再確認。


8-9 取り扱い・移動のNG

  • 本体を引きずる扉や上部だけを持って持ち上げる

  • 床養生なしで重量物を前に落とす可能性のある作業

OK代替2名体制+養生。持つ位置は下部の安定部、ゆっくり水平移動。


NG早見チェックリスト

  • 薬剤・水分・熱を使っていない

  • 強風・強擦り・円拭きをしていない

  • 分解・調整・再接着をしていない

  • 直射・直風・ミスト直撃を避けている

  • 可燃物ゼロ・完全消火を徹底できている

上記のいずれかに触れそうならDIYを中止し、状態を記録してから次の対応を検討してください。継続安置が難しい場合は、供養のうえ撤去買取も選択肢です(本記事末尾でご案内)。
次章は9. 年間メンテナンススケジュール例です。

9. 年間メンテナンススケジュール例

原則は「日常は最小限・季節は乾拭き中心・迷ったら触れない」。※弊社は清掃サービスは行わず、供養・撤去/買取のみ対応です。

9-1 全体像(頻度と所要時間の目安)

タイミング 主な目的 主な作業 所要時間 人数
毎日〜2日おき 清潔保持・火気安全 埃払い一なで/灰面整え/水替え 2〜3分 1人
週1回 指紋・ヤニの軽処理 乾拭き・ガラス指紋の直線拭き 5分 1人
月1回 内外の点検 共通手順で軽清掃+蝶番・水平の確認 20〜30分 1〜2人
お彼岸・お盆前(2週前〜前日) 来客前の整え 花立・水入徹底/受け皿の点押し清掃 30〜45分 1〜2人
梅雨・真夏 カビ・虫予防 除湿・換気・供物管理の徹底 5〜10分/回 1人
年末 大掃除の範囲で最小限 共通手順に沿った乾拭き中心+異常記録 30〜60分 2人推奨

※「共通手順」は第4章(4-1)を参照。


9-2 日常(毎日〜2日おき)

  • 合掌・一礼

  • 上→下・奥→手前の埃一なで(筆/毛ばたき)

  • 香炉の灰面を平らに(割り箸の背で表面だけ)

  • 水替え(こぼしは即・乾拭き)

  • 火気ゼロを確認(芯・マッチ片なし)

NG:金箔・漆・掛け軸・彩色文字に触れる/濡れ拭き。


9-3 週1回

  • マイクロファイバー直線拭きで外装・棚板を軽く

  • ガラスの息曇らせ→レンズクロス直線拭き

  • 受け皿・縁のヤニは綿棒の点押しのみ

  • 床まわりの養生布を屋外で軽くはたく

NG:強圧・円拭き・薬剤使用。


9-4 月1回(小点検つき)

  • 記録写真→共通手順で軽清掃

  • がたつき・戸の噛み・水平を確認

  • 金箔の浮き・白化/虫粉/カビ臭がないか観察

  • 異常があればDIY停止→写真記録

判断の目安:異常が続く/拡大する場合は清掃では解決不可のサイン。


9-5 お彼岸・お盆前(2週間前〜前日)

  • 花立・水入の外せる部材のみぬるま湯+中性洗剤→完全乾燥

  • 香炉・受け皿の点押し清掃(こすらない)

  • 室内湿度50〜60%、直射・直風を回避

  • 可燃物ゼロ・火気動線の再点検

NG:本体木部・金箔・漆へ水滴を落とす/潤滑スプレー使用。


9-6 梅雨〜真夏の予防(6〜9月)

  • 除湿(50〜60%目安)/扉は1〜2分換気のみ

  • 供物の置きっぱなしを避け、小虫対策

  • 周辺の段ボール保管をしない

停止サイン:白粉・カビ臭・小穴・木粉→触れずにDIY中止


9-7 秋〜冬(結露・乾燥対策)

  • 窓際設置は結露の滴下防止(吸水テープ等は本体非接触で)

  • 過乾燥を避ける(加湿器ミストの直撃は不可)

  • 扉の開放は短時間のみ


9-8 年末(“無理しない大掃除”)

  • 2名体制+日中実施、危険物(薬剤・メラミン等)は遠ざける

  • 共通手順:分解→埃→乾拭き→点検→復元

  • 同一面は最大2往復までの軽拭き

  • 異常は赤付箋でマーキング→作業停止→写真記録


9-9 印刷して使える超簡易チェックリスト

必要部分だけ切り出して冷蔵庫や仏間の壁に貼って使えます。

日常(2〜3分)

  • 埃一なで/灰面平ら/水替え/火気ゼロ

週1(5分)

  • 乾拭き/ガラス直線拭き/受け皿点押し

月1(20〜30分)

  • 共通手順で軽清掃/動作・水平確認/異常はDIY停止

季節(彼岸・お盆前)

  • 外せる部材のみ洗浄→完全乾燥/湿度50〜60%/可燃物ゼロ

年末(30〜60分/2名)

  • 最小限の乾拭き中心/異常は付箋→写真→停止


9-10 こんな時は「掃除より判断」

  • 剥離・白化・強いベタつきがある

  • カビ臭・虫粉・小穴を確認

  • 転倒・歪み・ガラス破損の不安がある

  • 承継者不在・住替えなどで継続安置が難しい

DIY清掃は中止し、供養のうえ撤去、または買取という選択肢を検討。
(※具体的な流れは本記事「12. 供養・撤去/買取のご案内」で解説します)

10. 修復・洗い・処分が必要なケース

結論:剥離・白化・カビ・虫害・構造の歪み・ガラス破損・強いベタつきのいずれかがあれば、DIY清掃は中止
※弊社は清掃・修復は行わず、供養のうえ撤去買取のみ対応です。

10-1 「洗い」とは?(まず知っておくこと)

  • 伝統仏壇の表面の汚れや古い塗膜を専門工程で落とし、塗り・金箔・金具を再生すること。

  • 部分修復(金箔の補修・漆の欠け埋め・金具交換 等)を伴う場合も。

  • 費用も期間もかかる/運搬・解体のリスク管理が必要。思い入れ・家系の事情が重いときに検討。

10-2 症状別の判断基準(DIY停止サイン)

  • 金箔の剥離・浮き、漆の白化/ひび:拭く・押さえるほど悪化。→修復orご供養の検討

  • カビ(白粉・点状斑・強いカビ臭):薬剤は不可。→修復相談orご供養

  • 虫害(粉状木屑・小穴):内部まで進行の恐れ。→修復相談orご供養

  • 構造の歪み・ぐらつき・戸の噛み:無理な調整は破損。→修復相談orご供養

  • ガラス割れ・欠け:自力脱着NG。→修復相談orご供養

  • ベタつき・ワックス跡・強いヤニムラ:こするほど悪化。→修復相談orご供養

いずれも写真記録だけに留め、触らないのが安全です。

10-3 修復・洗いを選ぶ目安

  • 代々の位牌・ご本尊と一体で守りたい

  • 地域・家のしきたりとして継承が定められている

  • 仏壇の種類・技法が高品位(本金箔・本漆・蒔絵 等)で再生価値が高い

進め方の一般例

  1. 現況写真を用意(全景/正面・側面/内部段/損傷部アップ)

  2. 現地確認→見積→工程説明(期間・搬出方法・保険)

  3. 施工→納品→据付確認

10-4 「供養のうえ撤去」を選ぶ目安

  • 承継者不在・住替え・スペース問題で継続安置が難しい

  • 修復費用>ご家計負担/使う予定がない

  • 劣化が重度で再生より整理が現実的

ご本尊・位牌は**ご供養(魂抜き・お性根抜き等)**のうえでお別れするのが一般的です。流れは本記事「12. 供養・撤去/買取のご案内」で解説します。

10-5 「買取」を検討できるケース

  • 家具調・現代仏壇など需要があり、状態が良好

  • 小型~中型で移設しやすいもの

  • 付属品(ご本尊は除く/仏具は状態次第)が揃っている

  • 目立つ損傷・ベタつき・カビ臭がない

伝統的な大型仏壇・重度劣化品は買取不可 or 低評価になりやすいです。判断には写真が必須

10-6 撮影のコツ(判断・見積・査定用)

  • 全景(正面):扉を閉→開で各1枚

  • 内部:上段/中段/下段を水平で各1枚

  • 側面・背面:設置環境確認用

  • 損傷部アップ:剥離・白化・小穴・割れ・金具の緩み

  • サイズ:高さ×幅×奥行(約cm)、設置階数・搬出経路もメモ

10-7 よくある勘違い

  • 「ロウは温めれば落ちる」→×:金箔・漆を変形・剥離

  • 「ワックスで艶が出る」→×:ムラ・ベタつき・変色

  • 「強風で埃を飛ばす」→×:金箔・蒔絵をめくる

  • 「戸の噛みはネジ締めで直す」→×:割れ・歪み拡大

10-8 迷ったらこの順で

  1. 触らず写真(全景→各段→損傷部)

  2. DIY中止の判断(本章10-2)

  3. 方針選択:修復・洗い/供養のうえ撤去/買取

  4. 本記事**「12. 供養・撤去/買取のご案内」**の手順へ


“判断メモ”ひな形(コピペ可)

  • 設置場所:____(階数/畳・フローリング)

  • サイズ:高__cm×幅__cm×奥__cm

  • 症状:剥離/白化/カビ臭/虫粉/ガラス破損/ベタつき(該当に〇)

  • 希望:修復・洗い/供養のうえ撤去/買取(いずれか〇)

  • 写真:全景2枚/内部3枚/側背面2枚/不具合アップ__枚

ここまでで「掃除ではなく判断」が必要な状況を整理しました。次章は**11. よくある質問(FAQ)**です。

11. よくある質問(FAQ)

※弊社は清掃サービスは行っておらず、供養・撤去/買取のみ対応です。以下は「ご家庭で安全にできる範囲」の目安です。

Q1. どのくらいの頻度で掃除すればいい?
A. 日常は埃一なで+灰面整え+水替えを2~3日に一度、週1で乾拭き、月1で軽点検が目安です(第9章参照)。

Q2. アルコールや除菌スプレーは使えますか?
A. 不可です。金箔・漆・蒔絵・木部を傷めます。使えるのは、外せるガラス・陶器部材に限り中性洗剤を少量(完全乾燥が前提)。

Q3. 金箔の面はどう拭けばいい?
A. 拭きません。柔らかい筆ではらうだけ。布や風を当てるのもNGです(4-2)。

Q4. ガラスの指紋や曇りは?
A. **息で曇らせ→レンズクロスで直線拭き。**外せる部材はぬるま湯+中性洗剤可(完全乾燥)。本体に水滴を落とさないでください。

Q5. ロウが垂れました。どうすれば?
A. 本体(金箔・漆・木部)についた場合はDIY不可こすらない/温めない。外せる小物なら樹脂ヘラで端から持ち上げ→綿棒の点押し(6-1)。

Q6. カビ臭や白い粉(カビ?)が見えます。対処は?
A. **DIY停止。拭かない・薬剤を使わない。扉を閉じて室内を除湿(50〜60%)**し、状態のみ記録(6-5)。

Q7. 小さな穴や粉状の木屑が落ちています。
A. **虫害の疑い→DIY不可。**触れずに写真記録し、以後の作業は止めてください(6-6)。

Q8. 真鍮仏具のくすみは磨いていい?
A. 鏡面仕上げのみ真鍮用クリーナー“極少量”で一方向2〜3回→即乾拭き艶消し・金メッキ・彫刻文字部は不可(5-3, 5-4)。

Q9. ウェットティッシュ(アルコール不使用)なら安全?
A. 原則不可。水分でムラ・白化・接着劣化の恐れ。木部は乾拭きのみ。指紋がどうしても気になる家具調面は固く絞った布で点押し→即乾拭き(4-4)。

Q10. 扉の動きが渋いので潤滑スプレーを使っていい?
A. **不可。**染み・変色・剥離の原因。埃を払うだけに留め、異常が続く場合はDIY停止(4-3, 6-8)。

Q11. 掛け軸や房のホコリは取れますか?
A. 触らないが基本。どうしても気になる場合は離れた位置から柔筆で空気をなでる程度(5-6)。

Q12. 芳香剤や消臭スプレーを使っても大丈夫?
A. 本体へ噴霧は不可。変色・シミの原因。におい対策は短時間の換気+湿度管理で(6-4, 7章)。

Q13. 加湿器・空気清浄機は近くに置いていい?
A. **直撃NG。**ミストや強風は劣化を早めます。**直風・直射なし、湿度50〜60%**を目安に(7-1~7-3)。

Q14. 位置を動かしたい/別室へ移設したい。
A. 2名+養生が基本。**引きずらない・扉や上部だけ持たない。**大型や階段搬出は無理をせずご相談を(8-9, 10章)。

Q15. 清掃しても礼拝に支障が残る/劣化が広がるときは?
A. 掃除では解決できないサイン。第10章の基準で修復・洗いを検討、もしくは供養のうえ撤去/買取をご検討ください。

Q16. 供養・撤去や買取をお願いする時、何を伝えればよい?
A. 写真(全景・各段・側背面・不具合アップ)サイズ(高×幅×奥)設置階数・搬出経路、現在の気になる点(剥離/白化/カビ臭 等)をまとめるとスムーズです(10-6)。


次章は**12. 供養・撤去/買取のご案内**です。

12. 供養・撤去/買取のご案内

12-1 まずはご相談(写真だけでOK)

下記をお電話・LINEでお送りください(サイト記載の窓口へ)。

  • 全景写真(扉閉→開 各1枚)

  • 内部写真(上段・中段・下段、計3枚)

  • 側面・背面(設置状況が分かるもの)

  • サイズ(高さ×幅×奥行、おおよそで可)

  • 設置階数・エレベーター有無・駐車可否

  • 現状(剥離・白化・カビ臭・虫粉 等の有無)

  • ご希望:①供養のうえ撤去 ②撤去のみ ③買取希望

テンプレ文(コピペ可)

「仏壇の(供養のうえ撤去/撤去/買取)を相談。サイズ:高___cm×幅___cm×奥___cm、設置:__階、EV(有・無)、駐車(可・不可)。写真を送ります。」


12-2 対応サービスの範囲

  • **供養(魂抜き等)**の手配・ご案内

  • 撤去・搬出・運搬(設置階数や搬出経路に応じた安全作業)

  • 買取(主に家具調・現代仏壇など、状態・需要により可否判断)

位牌・ご本尊・ご遺骨・掛け軸など礼拝の中心物は買取対象外です。
撤去・買取の前に**供養(お性根抜き)**が必要です。寺院の手配や段取りはご相談ください。


12-3 進め方(基本フロー)

  1. ご相談・写真送付(12-1)

  2. 概算のご案内(条件確認/訪問日候補の調整)

  3. 現地確認 → 正式お見積り

  4. (必要な場合)供養の実施

  5. 撤去・搬出(床養生→分解有無判断→運搬)

  6. 買取可否の最終判断・お支払い(該当時)

搬出は2名以上+養生を基本に、安全第一で行います。集合住宅・商業施設は管理規約に従います。


12-4 概算の考え方(目安項目)

  • 本体サイズ・重量・材質(大型・重厚材は人員増)

  • 設置環境(階段有無・間口幅・曲がり・天井高)

  • 駐車条件・搬出距離(建物入口~車両まで)

  • 分解の要否(現場での解体が必要な場合)

  • 同時回収品(仏具・台・付属家具 等)

詳細は現地確認後に確定します。過剰請求を避けるため、写真+実測での正確見積りにご協力ください。


12-5 買取について(判断ポイント)

  • 種類家具調・現代仏壇は需要があり評価対象になりやすい/大型伝統型・重度劣化は不可または低評価になりがち

  • 状態:ベタつき・強いヤニ・カビ臭・剥離は大幅減点または不可

  • サイズ小型~中型が対象になりやすい

  • 付属:仏具は状態次第で評価対象。ご本尊・位牌は買取不可

  • 市場性:近年の省スペース・家具調志向が強く、デザインの新しさも加点

買取希望の方は、付属仏具の有無も写真で分かるよう撮影ください。


12-6 当日の流れ(撤去・搬出)

  1. 養生(床・壁・通路)

  2. 分解の可否判断(無理な力は加えない)

  3. 搬出下部を持つ/引きずらない/扉は固定

  4. 積載・固定(運搬中の揺れ対策)

  5. 簡易清掃(設置跡の大きな埃のみ)→完了確認

ご準備いただくと助かります

  • 通路の確保(周辺の小物・敷物の一時移動)

  • 駐車スペースの確保(敷地内・近隣コインP)

  • エレベーター予約が必要な建物は事前申請


12-7 よくある注意点

  • 供養前の撤去・買取は不可(宗派・地域慣習に配慮)

  • 壁面の日焼け跡床の圧痕は残る場合があります(原状回復工事は別途)

  • **危険行為(窓外吊り・極端な傾け)**は行いません。安全に代替策をご提案します。

  • 悪天候は安全最優先で日程変更をお願いする場合があります。


12-8 キャンセル・再調整

  • 日程変更はお早めにご連絡ください。

  • 搬出当日の**条件変更(階段増・通路障害)**がある場合、作業可否やお見積りが変わる可能性があります。


12-9 こんなときはすぐご相談

  • 扉が大きく外れそうガラスにヒビがある

  • **白い粉・小穴(虫害)**が出ている

  • 強いベタつき・異臭・カビ臭がする

  • ご親族間の承継・処分方針が定まらない(段取りをご案内します)


12-10 まとめ(CTA)

  • 清掃に不安がある/劣化が進んでいる/継続安置が難しい──そんなときは、
    **「供養 → 撤去(または買取)」**の流れで丁寧にお手伝いします。

  • まずは写真とサイズだけお送りください。最適な方法を明確な見積りでご案内します。

お問い合わせはお電話・LINEから(連絡先は当サイトに記載)。
宗派・地域の習慣にも配慮し、無理のない進め方をご提案します。